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ソリューション 粒子の分散度を求める

Q: 複数の粒子画像を比較して、粒子の分散度を調べたいのだが。

A: 粒子の分散度を調べるには、プルーニングフィルタで画像内の粒子をボロノイ多角形に変換し、それぞれの多角形の面積を測定して、その標準偏差を調べます。

ボロノイ多角形は、隣接する2つの点の中間を通る線(ボロノイ境界線)を結んでできた多角形で、これがそれぞれの粒子の「勢力圏」になります。

ボロノイ多角形
ボロノイ多角形

注記:「ボロノイ (Voronoi) 多角形」は、「ディリクレ (Dirichlet) 領域」、「ヴィグナー・ザイツ (Wigner-Seitz) セル」、「ティーセン (Thiessen) 図」とも呼びます。

Image-Pro Plusでの処理手順は以下のようになります。
  1. 画像を開きます。
注記: 画像をまだ保存していない場合は、ここでファイルに保存しておいて下さい。
粒子画像

注記: 次の処理でプルーニングフィルタを使用するため、処理対象の 画像は上図のように、白い背景に黒い粒子が写った画像である必要があります。黒い背景に白い粒子が 写った画像の場合は、"Enhance" (強調) メニューの "Invert Image" (画像を反転する) コマンドで白黒反転してから、2.の手順へ進んで下さい。
  1. "Process" (処理) メニューの "Filters" (フィルタ) コマンドを実行して "Filters" (フィルタ) ダイアログを開き、"Morphological" (モフォロジカル) タブの "Pruning" (プルーニング) フィルタを選択します。
"Options" (オプション) 欄で "Threshold" (閾値)=50%、"Passes" (回数) =1を指定してから"Apply" (適用) ボタンをクリックします。 これで、粒子がボロノイ多角形に変換されます。
粒子をボロノイ多角形に変換
  1. 次に、カウント/サイズでボロノイ多角形の面積を測定します。
"Measure" (測定) メニューの "Count/Size" (カウント/サイズ) コマンドを実行してカウント/サイズを起動します。
  1. "Count/Size" (カウント/サイズ) の "Options" (オプション) ボタンをクリックして"Count/Size Options" (カウント/サイズのオプション) ダイアログを開き、"4-Connect" (4連結) オプションを選択します。
また、"Clean Borders" (境界線上を除外) 欄で "All Borders" (全ての境界) を選択します。

カウント/サイズの設定

最後に"OK"をクリックします。

注記: ここで「4連結」オプションを選択するのは、ボロノイ多角形の線が細線(1ピクセル幅)なので、4連結オプションを選択しないと隣り合う多角形同士がつな がって1つになってしまうためです。また、画像ウィンドウの縁にかかったボロノイ多角形は不完全な形状になるので、「境界線上を除外」オプションで除外する必要があります。
  1. "Automatic Dark Objects" (暗い色のオブジェクトを自動抽出) オプションと "Measure Objects" (オブジェクトを測定) オプションを選択します。
カウント/サイズの設定と実行
  1. 画面上部のツールバーで矩形AOIツールを選択してから、画像のほぼ全体 (画像ウィンドウの縁よりやや内側) を囲みます。
AOIで囲む
  1. "Count/Size" (カウント/サイズ) ダイアログの "Count" (カウント) ボタンをクリックします。
これで、画像内のボロノイ多角形の面積が測定されます。
面積を測定

面積の標準偏差を調べるには、"Count/Size" (カウント/サイズ) ダイアログの "View" (表示) メニューにある "Statistics" (統計) を実行します。
  統計データを表示
"Area" (面積) の列の "Std. Dev." (標準偏差) が、粒子の分散度を示す指標になります。

また、元の画像がファイルに保存してある場合、"File" (ファイル) メニューの "Reload" (再ロード) コマンドを実行すると、測定されたボロノイ多角形を元の画像と重ねることができます。
元の画像と重ねる

以上の測定を複数の画像について繰り返し、面積の標準偏差を比べることで画像毎の粒子の分散度を比較できます。