Calibration(較正)コマンド
"Measure"(測定)メニューの"Calibration"(較正)コマンドを使用すると、輝度・濃度較正、および空間較正(寸法や縦横比等)を画像に適用できます。
測定を行なう前に、画像にあらかじめ較正をかけておくと、測定結果が実寸値や変換後のデータとして算出されるので便利です。
"Calibration"コマンドをクリックするとサブメニューが開き、以下のコマンドが表示されます。本項の説明を読み、較正についてご理解頂いた上で、各コマンドをご使用下さい。
較正の種類
較正には、空間較正と輝度較正の2つがあります。
空間較正データセットの種類
較正を行なうには、まず較正データセットを作成して、それを画像に適用します。Image-Pro
ver. 5.0以降では、較正データセットを汎用性のレベルに応じて数種類に区別し、使い分けられるようになっています。
空間較正データセットには、次の3種類があります。
- ● 画像固有較正データ:
画像固有較正データは、1枚の画像のみに対して有効な較正データです。電子顕微鏡や、変倍(ズーム)レンズを使用するビデオマイクロスコープのように、固定倍率の対物レンズを持たないシステムで画像を取り込むときは、通常の場合、それぞれの画像を個別に較正する必要があります。具体的には、画像内に基準の大きさを持つスケール(電子顕微鏡のミクロンバーなど)を写し込んで、そのスケールの大きさに基づいて較正を行ないます。
"Spatial Calibration Wizard"(空間較正のウィザード)コマンドで画像固有の較正を行う場合の手順は、「一般的な操作手順:アクティブな画像を較正する(画像固有較正)」
の項をご参照下さい。
画像固有較正データはImage-Proに登録されず、基本的に他の画像に適用することはできませんので、画像ごとに較正をやり直す必要があります。1回作成した較正データを保存して何度も再使用したい場合は、下記の「基準較正データ」をご覧下さい。
注記:
・ 画像固有較正データは、"Spatial Calibration Wizard" (空間較正ウィザード)で較正を行なうか、"Spatial
Calibration" (空間較正)ダイアログで較正を行なって"Apply"(適用)ボタンをクリックしないと、画像に適用されません。
・ 画像固有較正データは、Image-Proに自動登録されませんので、Image-Proのセッションを終了すると同時に消失します。また、当較正を適用した画像を閉じると、同一セッション中でも消失します。以降の操作で使用する場合は、較正データを画像に保存するか、あるいは"Save
Active"(現在の較正値を保存) コマンド等で較正ファイルに保存しておく必要があります。
・ 画像固有較正データを基準較正データに変換
したり、他の画像に適用する ことも可能です。
- ● 基準較正データ (R):
-
光学顕微鏡のように、固定倍率の対物レンズ(×5、×10、×20、×50、×100...)を持つシステムで画像を取り込む場合は、画像ごとに画像固有較正をやり直す必要はありません。それぞれの対物レンズ(倍率)に対応する較正データセットを1つずつ作成し、Image-Proに登録しておくだけで十分です。この場合、それぞれのレンズに対応する較正データセットを、基準較正データとして作成する必要があります。
基準較正データを作成するには、まず対物レンズのそれぞれについて、"Lens
List"(レンズリスト)コマンド でレンズリスト(レンズ情報ファイル)を作成します。その後、"Spatial
Calibration Wizard"(空間較正のウィザード)コマンド を実行し、作成したレンズリスト毎に較正を行ないます。【詳細手順は「一般的な操作手順:基準較正を作成する」
の項をご参照下さい。
注記:
作成した基準較正データセットには"R"のマークが付き、Image-Proに登録されますので、何度でも呼び出して他の画像に適用できます。未較正の画像ファイルを開く、ないし新しい画像をカメラから取り込む度に、基準較正データセットの中から1つを選び、画像に適用します。
例えば、対物レンズの倍率に応じて、あらかじめ「X5」、「X10」、「X20」という名前の基準較正データセットを作成してある場合、10倍のレンズで画像を取りこんだときは、基準較正データセット「X10」を選択して、画像に適用します。
注記: 対物レンズを切り替えずに多数の画像を取り込む場合、そのレンズに対応する基準較正データをシステム基準較正データ(下記)に設定しておくと、取り込みと同時にその較正データが自動適用されるので便利です。
- ● システム基準較正データ (S):
-
基準較正データセット(上記)のうちの1つを、システム基準較正データに指定することができます。システム基準較正データは、カメラ、スキャナなどから画像をImage-Proで直接取り込んだときに、その画像に対して自動適用されるデフォルトの基準較正データです。
基準較正データセットをシステム基準較正データセットに指定するには、"Set
System" (システム基準較正を設定)コマンド でデータセットを選択します。
システム基準較正はImage-Proのセッションを終了しても消失しません。当較正を適用した画像を閉じても消失しません。
システム基準較正に指定された較正データには、"S"というマークが付きます。
システム基準較正データセットが設定されていない場合、画像をカメラからImage-Proに取り込んでも、その画像は未較正のままになります。
注記:
・ システム基準較正データを未較正の画像に適用するには、"Spatial
Calibration Wizard"(空間較正ウィザード) で較正を行なうか、あるいは"Spatial
Calibration"(空間較正) ダイアログの"Apply"(適用)ボタンで明示的に画像に適用する必要があります。
・ 旧バージョンのImage-Pro(ver. 5.0より前)では、較正データがImage-Proのセッションを終了しても次のセッションに引き継がれるようになっており、混乱が生じる場合がありました。Ver.
5.0以降では、"Reference Calibration"(基準較正)、"System Reference Calibration"(システム基準較正)のみを引き継ぐ方法に変更され、1つの画像にのみ適用される画像固有較正データは引き継がれませんのでご注意下さい(空間較正を適用した画像をTIFF形式で保存しておけば較正データは画像に保存されますので、Image-Proの次のセッションに画像経由で引き継ぐことができます。【こちら
を参照】)。
・ 旧バージョン(ver. 4.5以前)の較正データセットをver. 5.0以降で使用する場合は、"Open"(較正値をロード)
コマンドを用い、旧バージョンのImage-Proのアプリケーションフォルダ(通常"C:\IpWin4"、"C:\IPWIN45J"など)にある"Ipcal.cal"ファイルをロードします。Ver.
5.0以降、基準較正は"IpRef.cal"ファイルに保存されます。
輝度較正データセットの種類
輝度較正データセットには、以下の3種類があります
- ● 画像固有較正データ:
画像固有較正データは、1枚の画像のみに対して有効な較正データです。
画像固有較正データはImage-Proに登録されず、基本的に他の画像に適用することはできませんので、画像ごとに較正をやり直す必要があります。1回作成した較正データを保存して何度も再使用したい場合は、下記の「基準較正データ」をご覧下さい。
● 基準較正データ:
基準較正データは、Image-Proに自動登録され、画像を閉じたりセッションを終了したりしても保持される較正データです。一旦作成した後は、"Intensity"
(輝度較正)ダイアログの"Name"(名前)欄に表示されます。"Intensity"
(輝度較正)コマンド にて、輝度較正データを作成して画像に適用します。
- ● システム基準較正データ:
システム基準較正データは、較正のかかっていない画像をImage-Proで開いたときに、その画像に対して自動適用されるデフォルトの較正データです。具体的には、以下の操作をしたときに自動適用されます。
-カメラ、スキャナなどから画像をImage-Proに直接取り込んだとき
-未較正の画像(較正データが記録されていない画像)をImage-Pro上に開いたとき
基準較正データセットをシステム基準較正データセットに指定するには、"Intensity"
(輝度較正) コマンド 等で輝度較正データを作成した後、"System"(システム)ボタンでシステム基準較正データに指定します。
較正データの表示について
測定を実行する前に、画像が正しく較正されていることを確認する必要があります。画像に適用されている較正データセットの名前と単位(輝度較正では単位名のみ)は、画像をクリックしてアクティブにすると、Image-Proの画面右下のステータスバー上に表示されます。
注記: Image-Proのステータスバーが画面に表示されていない場合は、ステータスバーがWindowsのタスクバーの陰に隠れている可能性があります。
ステータスバーに"<none>"(なし)と表示されたり、何も表示されない場合、画像は未較正です。
画像に適用されている較正データの詳細を表示させるには、"Edit"
(編集) メニューの"Info" (画像情報) コマンドをクリックします [あるいは、画像ウィンドウ内を右クリックしてコンテキストメニューを開き、その中の"Information"
(情報) コマンドをクリックします]。"Information"(画像情報)ダイアログが開いたら、"Calibration"(較正情報)タブをクリックして較正情報を表示します。全較正情報が一覧表示されます(下図)。
注記: "Information"(画像情報)ダイアログについて詳しくは、"Info"(画像情報)コマンド
の項をご覧下さい。
較正データの保存について
空間較正データは、画像データと共に画像ファイルに保存できます(輝度較正データは画像ファイルに保存できません)。また、空間較正・輝度較正とも、較正データのみを収めた較正ファイル(*.CAL)に保存することができます。
注記:基準較正データ(およびシステム基準較正データ)は、作成されると同時にImage-Proのアプリケーションフォルダ(通常の場合、"C:\IPWIN51J")
にある"IpRef.cal"ファイルに自動保存され、"Select Spatial"(空間較正値を選択)コマンドや"Intensity"(輝度較正)コマンドから選択できます。画像固有較正データは、"IpRef.cal"ファイルに自動保存されません。
- ● 較正データを画像ファイル自体に保存する:
画像に適用されている較正データのうち、空間較正データセットのみは、画像データと共に画像ファイルに保存できます。保存するには、以下のいずれかのファイル形式で保存する必要があります。
-TIFF形式 (*.TIF、単一フレーム画像および複数フレーム画像)
-シーケンス画像形式 (*.SEQ、複数フレーム画像)
空間較正データを画像に適用した後、"File"(ファイル)メニューの"Save As"(名前を付けて保存)コマンドでTIFFないしシーケンス形式にて保存して下さい。
このように保存されたTIFFないしシーケンス形式の画像は、Image-Pro上に開かれた時点で既に空間較正が適用された状態になっています。較正データセットを再度適用する必要はありません。
注記:
- 空間較正データと共に保存されたTIFF形式ないしシーケンス形式(*.SEQ)の画像から空間較正データを除去するには、"Calibration"(較正)メニューの"Spatial"(空間較正)コマンドを実行し、"Delete"(削除)ボタンをクリックします。その後、画像を再度保存して下さい。
- 画像ファイルに保存できるのは、空間較正のみです。輝度較正データは、画像ファイルには保存できません。輝度較正データは、較正ファイル(*.CAL)に保存する必要があります(下記参照)。
- TIFFとSEQ以外の形式の画像ファイル(BMP, JPEG, AVI, PICTなど)では、空間較正データを画像データと一緒に保存できず、画像データのみを保存します。画像をこれらのファイル形式で保存された場合は、画像をImage-Pro上に開いた後で較正をやり直すか、あるいは既存の較正データセット(基準較正データ)を適用する必要があります。
● 較正データを較正ファイル(*.CAL)に保存する:
較正データセット(空間較正および輝度較正データ)を較正ファイル[較正データのみを収めた専用のファイル(*.CAL)]に保存したいときは、"Calibration"(較正)サブメニューにある、以下のいずれかのコマンドを使用します。
-"Save Active" (現在の較正値を保存)
コマンド: 現在アクティブになっている画像に適用されている空間較正・輝度較正データセットを、較正ファイル(*.CAL)に保存するときに使用します
。
-"Save All" (全ての較正値を保存)
コマンド: Image-Proに登録されている全較正データセット(空間較正・輝度較正データ)を較正ファイル(*.CAL)に保存するときに使用します。
較正ファイル(*.CAL)に保存された較正データセットを呼び出して画像に適用するには、"Calibration"(較正)サブメニューにある"Open"(較正値をロード)較正値をロードコマンド
コマンドを使用します。
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